ラダー回路

カウンタ回路により3ビットのディジタル信号D2~D0が出力されますので,今度はこれをアナログに変換しましょう.まずはラダー回路です.「ラダー」とは縄梯子のことで,下に示す回路図の左側に集まっている抵抗の配置が縄梯子に似ているためです.今回は3ビットしかないため,言ってみれば3段のはしごとなっています.

 ラダー回路とボルテージフォロア回路図

さて,TP5の電圧がアナログ回路になっているのですが,なぜそのようになるのか考えてみましょう.事前に抵抗値を確認してください.よく見るとR5,R6,R7,R10が20[kΩ],R8,R9が10[kΩ]となっています.大事なのはこの比率です.つまり,R5をはじめとする抵抗群と,R8の抵抗群の比率が2対1になっていればこの回路は成立します.従いまして,R5の抵抗群が1[kΩ],R8の抵抗群が500[Ω]でもよいということです.

では実際に計算をしてみましょう.ここでは例としてディジタル値1002をアナログ値2.5[V]となることを説明します.1002ということは,D2=High,D1=Low,D0=Lowとなります.これを回路図にすると下のようになります.

ラダー回路の変形1

 

この回路を少し変形すると下のようになるのがわかるでしょうか.

ラダー回路の変形2

R7とR10が並列に並んでいることが分かりますね.従って,R7とR10の合成抵抗R[kΩ]は下のようになります.

{jmimetex}R=\frac{1}{\frac{1}{20}+\frac{1}{20}}=\frac{1}{\frac{2}{20}}=\frac{20}{2}=10{/jmimetex}

以上のように10[kΩ]となりますので,上の回路は下のように変形できます.

ラダー回路の変形3

今度はR9とRが直列に接続されていますので合成抵抗は20[kΩ]となります.従いまして,さらに下のように変形できます.

ラダー回路の変形4

グランド付近に注目してみると,また前のように20[kΩ]の抵抗が並列に接続されていることが分かります.下に変形した様子を示します.

ラダー回路の変形5

20[kΩ]の抵抗が並列に接続されていますので,合成抵抗は10[kΩ]となります.従って下のように変形できます.

ラダー回路の変形6

今度は10[kΩ]の直列接続ですので,合成抵抗は20[kΩ]となり,最終的に下のような回路となります.

ラダー回路の変形7

この回路を眺めますと,20[kΩ]の抵抗が2個あり,その真ん中の電圧を測ればよいことが分かります.この場合,分圧すればよいので下の式のようになります.

{jmimetex}V=5\times\frac{20}{20+20}=5\times\frac{1}{2}=2.5{/jmimetex}

このように,TP5の電圧は2.5[V]であることが分かります.繰り返しますが,今回は20[kΩ]と10[kΩ]を使いましたが,2RRの抵抗値を持つ抵抗なら上記の計算を同じように求めることができます.

 

実験と報告

ラダー回路をブレッドボード上に作成し,TP5をオシロスコープで観測してください.また,D2~D0は理想的な場合には下記の表のような電圧となります.観測したものと比較してください.さらに,D2~D0が下表のようになることを証明してください.このとき,式を省略せずに書いてください

D2 D1 D0 電圧値
0 0 0 0
0 0 1 0.625
0 1 0 1.25
0 1 1 1.875
1 0 0 2.5
1 0 1 3.125
1 1 0 3.75
1 1 1 4.275