トラック競技における残りの周回数を競技者へ知らせる現状の方法は大変シンプルです.審判員が各競技者を目で識別し,フィニッシュライン付近で掲示しています.しかしこの方法では人物同定に手間がかかるのみならず,周回遅れの競技者とそうでない競技者がほぼ同時刻にフィニッシュラインに来たとき,掲示板に残周回数を表示することが困難です.そこで,競技者にアクティブタグを装着し,フィニッシュラインを何回通過したか調べるシステムの開発に取り組んでいます.下の図は概念図です.アクティブタグをつけた選手がフィニッシュラインに近づくとそこから発せられる信号を通信中継装置で検知し中央処理器に送信し,さらには大型の掲示板に競技者のラップと残り周回数を掲示します.加えて,審判が手で持つタブレットにどの選手が通過したかを表示します.協議終了後にはアクティブタグは充電器にて充電することで繰り返し使うことができます.
現状で開発した機材を含めて再び概念図を下に示します.アクティブタグは39mmとなっており大変小型です.このタグを専用のケースに入れれば完全防水が実現できます.充電池が内蔵してあり,加えて無接点給電できるようになっています.通信中継装置には情報を中央処理器および審判端末に送るのみならず,スピーカを取り付けられるようになっており,残り1周の選手がフィニッシュラインに近づくと音が鳴るようになっています.