はじめに
この文書では,3DCADによりネジ穴を作成する方法を述べています.いろいろなサイトに情報が載っているため,特に書き留めていなかったこともあり,作り方をすぐに忘れてしまうことからここに備忘録として書いておきます.
環境
使っているCADはDesignSpark Mechanicalです.フリーで使えるため助かっています.また,今回はM2.6用のメートル並目ネジのネジ山を作りました.
手順
まずはネジの各サイズを知る必要があります.こちらにあるサイトに各ネジのサイズが書かれています.このサイトに書かれている各サイズを図にしたものが下のものです.おねじの呼びがdとしてあらわされます.今回はM2.6ですので,d=2.6ということになります.それに対応するめねじの谷をDとしてあらわされます.同じくD=2.6ということです.さて,図ではd1またはD1というところがあります.これがおねじの谷の径,もしくはめねじの内径です.M2.6の場合には2.113となります.それ以外の情報として,ネジのピッチPがあります.M2.6の場合にはピッチは0.45ということが書かれています.
出典はこちらです.
次に加工の手順を示します.
- 直径2.113の穴をあけます.
- 空けた穴の淵にねじを切るための正三角形を描きます.この正三角形の1辺の長さは(2.6-2.113)×2÷√3です.
- ピッチを0.45にし,孔の中心を回転軸としてプルします.
2の解説をします.今回のおねじはM2.6であり,その他には2.113です.従ってその差分が上記の図でいうとH-H/4=3H/4です.で,この長さが正三角形の高さになります.よって,正三角形の一片の長さXは√3:(2.6-2.113)=2:Xとなり,これを解くとX=(2.6-2.113)×2÷√3=0.28となります.理屈はこうですが,下に公式を書いておきます.
(おねじの外径[d]-おねじの谷径[d1])÷√3 を1辺の長さとする正三角形
では孔あけの様子を図で示します.まずは直径2.11の円を描きます.
次にプルして穴をあけます.
次に三角形を孔の淵に描くため,図のように孔の中心軸を選択します.
その後,直線を描くアイコンをクリックし,さらに正面から見えるようにするためのアイコンを押します.
下のように,孔の淵に三角形を描きます.今回の1辺の長さは0.28です.
山場のネジ切りです.まず,三角形を選択してプルを選択したのち,回転させるアイコンを押し,回転軸として孔の軸を選択します.そして,削っていくためにマイナスのアイコンを選択し,さらにヘリカルを選択します.最後にピッチを0.45としたうえで,この図では下方向へドラッグしていきます.
これで下の図のようにネジ山が出来上がります.あまりネジ山を切らないため,ついつい忘れてしまうこの方法をここに書き残しておきます.