インタープラン社製IM920は920[MHz]帯の通信を手軽に行うことができるモジュールです.RM-922より低価格であることが一番の魅力であり,多くの通信ノードが必要な場合にはこちらを用いるのもありかなと思い始め,少し触ってみることにしました.
通信させてみて分かったことを羅列します.
〇N個の送信器の情報を1個の受信器でデータを得るのには有利
このモジュールは,受信先をあらかじめ指定しておくことでデータを送るようになっています.受信先は複数入れられるようになっているため,N個の送信器からのデータを1個の受信器へ送るときには便利そうです.
〇1個の送信器からの情報をN個の受信器でデータを得るのには不利
1個の送信器からN個の受信器に送るときにはブロードキャストしたような状態になってしまうため,データに受信してほしい受信器のIDを付与して送り,受信器側で自分宛のデータなのか確認するような処理が必要です.
〇マルチホップはできなさそう
RM-922やXBeeでは行えるマルチホップ機能がIM920には(多分)無いみたいです.
〇空中線電力が最大で10[mW]
RM-922と比べて空中線電力が低いです.このため,おそらくRM-922よりは通信距離が短いことが予想されます.どこかのタイミングで実験をしてみたいですね.
〇コマンドがいろいろある
RSSI値(信号強度)を得たり,簡単にスリープさせられたりできるので,いろいろと面白そうなことができそうです.
以上のような特徴がありますので,RM-922やXBeeとの棲み分けは次のようになりそうです.
- 建設現場で利用可能な気象観測ロボット⇒RM-922(距離を稼ぐ必要が大きそうだから)
- 放射線量測定⇒IM920(N個の送信器の情報を1個の受信器でデータを得るから.また,消費電力も抑えられそうだから.)
- 電気柵⇒IM920(N個の送信器の情報を1個の受信器でデータを得るから.また,消費電力も抑えられそうだから.だけど通信距離がちょっと心配…)
- 陸上競技の掲示板⇒RM-922(1個の送信器[本部にあるパソコン]からN個の受信器[掲示板]へ送るため,こちらの方が有利.価格や距離を考えるとRM-920でもよいかも.)
- 野球⇒XBee(人がまばらであること,最も価格が安いこと,それほど通信距離を稼ぐ必要がないこと,これまでXBeeでやってきたから作り替えるのが大変であること.)
「全部これ一台で」的なものがあればいいのですが,なかなかそうはいかないようですね.