Xilinx社製のISE WebPACKは,Spartan6などの6シリーズより以前のFPGAに回路を構築するためのIDEです.2015年現在,Vertex7のように7シリーズに回路を構築するにはVivadoというIDEを使うことになり,おそらく今後,Vivadoで6シリーズ以前のFPGAには対応しないと思われます.つまり,6シリーズ以前のデバイスを使うには引き続きISE WebPACKを使用しなければならないということです.しかし困ったことに,ISE WebPACKはWindows8以降のOSではまともの動作しません.この文書ではこの問題の回避方法について述べています.
環境
まず,動作環境を示しておきます.
- OS : Windows8以降(Windows8.1を含む), 64ビット
- ISE WebPACK : 14.7(ISE WebPACKの最後のバージョン)
インストール
インストール方法についてはこちらで説明していますが,ライセンスの設定のみ行えませんので,後述の「Windows8以降で動作させるための設定」を行った後,ライセンスの設定を行ってください.ライセンスの設定方法はこちらに書いておきます.
Windows8以降で動作させるための設定
Windows8以降のOSでISE WebPACKを動作させようとして問題となることは大きく分けて2種類あります.一つはファイルセレクタが動作しないこと,もう一つは64ビット版の外部アプリケーションであるPinAheadが起動しないことです.これらの問題を解決するため,2個の設定を行いましょう.
libPortability.dllの修正
libPortability.dllはファイルセレクタのためのダイナミックリンクライブラリです.これが悪さをしているため,ライセンスの設定やISE WebPACKのファイルを開くことができません.次に示す2個のディレクトリにあるlibPortability.dllをバックアップ(例えばファイル名に「_orig」を付ける)してください.
C:¥Xilinx¥14.7¥ISE_DS¥ISE¥lib¥nt64
C:¥Xilinx¥14.7¥ISE_DS¥common¥lib¥nt64
次に,C:¥Xilinx¥14.7¥ISE_DS¥ISE¥lib¥nt64にある「libPortabilityNOSH.dll」をコピーし,名前を「libPortability.dll」にしてください.同様に,C:¥Xilinx¥14.7¥ISE_DS¥common¥lib¥nt64へも「libPortabilityNOSH.dll」をコピーし,名前を「libPortability.dll」にしてください.
32ビット版PlanAheadを起動するように変更
PlanAheadは独立したアプリケーションで,64ビット版をWindows8以降のOSで動作させようとしても動きません.そこで,ISE WebPACKから32ビット版のPlanAheadを動作させるように変更します.ISE WebPACKからPlanAheadを呼び出すとき,下記のバッチファイルを用いています.
C:¥Xilinx¥14.7¥ISE_DS¥PlanAhead¥bin¥rdiArgs.bat
このバッチファイル内で,32ビット版PlanAheadを動作させるように変更します.このファイルをrdiArgs.bat.orig等のようなファイルとしてコピーしておいた上で,下記の変更をしてください.
- 16,17,18,20行目の各行のはじめに「rem #」を付けてください.これにより,16~18と20行目はコメントアウトされます.
- 32行目にある「win64」を「win32」に変更してください.
通常,インストール時にライセンスを設定できるのですが,ファイルセレクタが動かないため,インストール時には設定できません.そこで,インストール時にはライセンスの設定をせずに終了したのち,ISE WebPACKを起動し,メニュー[Help]⇒[Manage License...]を選んでください.この手順ではライセンスを設定できない場合があります.具体的にはライセンスを設定するアプリケーション(xlcm.exe)が立ち上がってこない現象が見られました.その場合にはこちらにある方法で対応してください.