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Details
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Written by: 芦田和毅
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野球の試合における運営支援システムの開発
現在,高校野球人口は減少傾向にあり,2015~2017年の3年間減少し続けている[1].高校野球人口の減少によって,部員数が試合に出ることのできる最大定員を満たせない高校は増加し,地方の過疎化によって,大会には複数校で連合という形式で参加する高校も存在する.部員数の少ない野球部では,練習試合での試合運営に必要なスコアラーやBSOやスコアボードの表示を行うための人手が大きな負担となってしまう.さらに,スコアをつけるには野球の知識のほかにスコアをつけるための複雑な知識も必要となる. 本研究ではスコアをつける作業を容易にするためにAndroidタブレット上で動作するスコアブックのアプリを作成した.これにより,試合の推移を電子化できるため試合後の分析も容易になる.また,タブレットによりBSOやスコアボードを制御できることによって試合運営に必要な人数を抑えられるようにすることを目指している. これまでの研究で,後述のスコア記述アプリへの基本的な野球の試合で起こるイベント(以下,イベント)を記述できるようにするとともに,選手交代時のアナウンス生成機能の実装,さらにBSOと通信方法の変更やBSOの点灯時間の検証などを行った. 本年度の研究では,スコア記述アプリの再設計やそれに伴うクラス図・アクティビティ図の作成,さらに新たなイベント実装などを行った.
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画像解析による積雪量の推定
冬の時期,道路に雪が積もった際は,融雪剤(塩化カルシウム)を散布するが,路面状況がリアルタイムで把握できない場合,散布タイミングの遅れによるスリップ事故や融雪剤の不足が起こりうる.路面状況の把握に必要な情報としては,積雪量や雪質などが挙げられる. 積雪量を推定する方法には,積雪した重量に基づくものや,レーザー光により基準点からの距離に基づくものなどがある.しかし,前者は雪質によって誤差が生じること,後者は雪のかさ密度が低いためにレーザー光が透過することによって誤差が生じてしまうことがある.路面状況を把握するには10[mm]以上の誤差では不十分である.また,積雪重量計や積雪深計は約20~30万円と高価であり,得られる情報が雪氷状況の把握に不十分なため使用できない. これらの問題は,画像解析により積雪量を高精度に推定する方法で解決できると考えられる.具体的には,積雪深を測定するための測定棒を地平面に対して垂直に設置して一眼レフカメラでそれを撮影し,測定棒の目盛りを読み取る.本研究では,路面状況を把握するために必要な情報である積雪量を画像解析によって推定することを目的とする.
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トラック競技における残周回数管理システムの開発
陸上競技の審判員は,競技者があと何周走るのかを各競技者に伝達する任務がある.そのため,審判員は競技者の残り周回数を記録したり,その周回情報を掲示板に表示することで,それぞれの競技者にその情報を伝達したりする必要がある.現在,審判員はこれらの作業をナンバーカードの目視と掲示板の手動操作によって行なっている.また競歩種目においては,違反競技者の特定を行う必要があるため,トラック上の競歩審判員が該当者のナンバーカードを目視によって確認し,注意を行なっている.しかし,出場競技者数が多い場合や周回遅れ(先頭の競技者より何周か遅れる)の競技者が存在する場合に,すべての競技者を瞬時に見分けて残り周回数を競技者へ伝達することは困難な状況にある. これらの問題から,先行研究においてそれぞれの競技者を見分けて,違反者の特定を行うシステムを開発した1).このシステムでは,競技者が自身の情報を発信するアクティブタグを装着することで,Android アプリや大会本部と通信を行い,違反情報を処理するというシステムである.なお,このシステムは周回情報の掲示機能や周回数の記録機能を保有していない.よって本研究では,このシステムの一部である小型発信装置を利用して,競技者の残り周回数を記録し,それぞれの競技者にその情報を伝達するシステムの開発を目的とする.
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体力測定結果の集約および印刷システムの作成
現在,主に高齢者を対象として実施されている体力測定結果の集約を自動で行うシステムの開発が行われている.本研究ではこのシステムのうち,結果を集約するために不可欠な無線による通信を行うライブラリの作成と,被計測者へフィードバックする個人別測定結果を出力するプログラムの作成を行った.その結果,個人別測定結果の出力および無線通信モジュールによる送受信テストを行うことができた.
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競歩競技における違反報告管理システムの開発
本研究では,競歩競技運営における人員削減や違反情報集計の簡略化,選手への速やかな違反情報伝達を実現し,運営の効率化を図ることを目的とした,無線通信を用いたシステムの改良および開発を行った.特に,無線通信用機器のソフトウェアを変更,審判員用入力機器と本部PC間とのデータ送受信の処理を実装,モジュール間の通信方法を改良,通信用機器のケースを作成し,システム全体を動作させることができた.
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6分間歩行における記録の自動計測システムの開発
健康教育における体力測定の一環として6分間歩行が行われている.6分間歩行では被計測者が歩いた 6 分間の距離を計測者が手作業で記録する.本研究では6分間歩行の記録の自動化し,記入時間の削減と正確な計測結果の記録を実現する.実現のために,被計測者が身に着けるアクティブタグから発信されるタグIDを複数個所で受信するシステムを開発した.これにより被計測者の移動距離を推定するための情報を集約することができた.
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建設現場で利用可能な気象観測システムの開発 -中型警報器の開発-
温湿度や雨量などの気象観測を行い,危険な観測値の場合に警報を発するシステムの開発をこれまで行ってきている.これにより建設現場における熱中症や自然災害から作業員を守ることができる.本研究では,このうち特に中型警報器の開発と,無線通信により中央処理器・中型警報器・携帯端末間での連動を行えるようにした.これにより,よりきめ細かく 作業員の安全を守るシステムを実現することができた.