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Details
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Written by: 芦田和毅
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陸上競技用掲示板の緊急停止装置の製作
陸上競技を取り巻く環境は,現在厳しい状況にある.日本選手権などの全国規模の大会を行う第一種陸上競技場であっても大型掲示板が設置していない競技場がある.その理由は大型掲示板の設置や点検に莫大な予算や大規模な工事が必要になってしまうからであり,日本ではスポーツ関係予算は増加傾向にあるものの,地方におけるスポーツ関係歳出額は平成7 年をピークに大幅に減少している.以上の理由から,安価で使いやすい掲示システムをこれまで開発してきている.このシステムでは配線を行うと設置が困難になることと,トラック上にコードが通過してしまう恐れがあることを考慮して,無線通信を用いた操作を採用している.その一方で無線であるがゆえに通信に問題が生じた時,表示を緊急的に消す機能が必要である.そこで本研究では,緊急で表示を停止する装置の開発を行った.
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高校野球マネージャ支援システムの開発
現在,高校野球人口は増えている傾向にある.しかし,どこの高校も部員数が増えているわけではない.たとえば千葉県では172 校が千葉県高等学校野球連盟に加盟しており,そのうち平成27 年度で部員数が平均人数に満たない高校は56%にのぼる.また,部員数が20 人以下の高校が28 校もある.高校野球では練習試合をするとなると試合に出場する9 人と控えの選手のほかに試合のスコアを記録するスコアラ,BSO の掲示者,スコアボード掲示者,場内アナウンサ,その他補助員が必要である.そのため,人数が少ないチームにとっては大きな負担であると考えられる.また,スコアラには野球の知識のほかにスコアをつけるための知識も必要なため完璧にスコアをつけられるようになるには時間がかかる.さらに,高校野球の場合にはポジションの入れ替え(シートの変更) がプロ野球と比べて非常に多いため,それを伝える球場内のアナウンスは煩雑となる.そこで,本研究ではタブレット上でスコアをつけられつつ, シート変更のアナウンスセリフを生成するアプリの開発を行っている.また,タブレット,BSO およびスコアボードを同期させることによって試合運営に必要な人数を少なくするシステム構築を目指している.
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建設現場で利用可能な気象観測ロボットの開発
毎年夏になると熱中症が多く発生し,過去15 年間で合計297 名もの人々が亡くなっており,その4 割を占めているのが建設業者である.しかし,現在とられている対策は建設現場にある掲示板に注意勧告を行うことや温湿度などが危険な値になった場合の警報のみである.このような問題を解決すべく,地元企業の守谷商会(以降,施主) から「気温,湿度,雨量,風速を一元管理でき,ソーラ電源と電光掲示板(以降,屋外ディスプレイ) により測定値を表示し,危険観測値の場合には警報を発信する.さらに,ロボットの形にし,見て楽しいものにしてほしい.」という依頼を受け,熱中症をはじめとする建設現場 で起こりうる事故を減少させるためのロボットの開発を目標としてきた.